Xperia 10Ⅳの1週間レビュー。長所短所が極端なバランスの悪い機種

Xperia 1Ⅳが国内で6月3日より発売されて早速購入したので先行レビューで試しきれなかった部分をレビューしてみました。詳細は「Xperia 1Ⅳ開封レビュー。結局発熱はちょっと不安が残る感じに」をご参照下さい。

また国内でサイズ感からも人気が高いXperia 5Ⅲと価格差が約8万円ある中その価格差の価値があるのかXperia 1Ⅳと比較レビューをしてみました。

詳細は「約8万円の価格差をどう捉えるか。Xperia 1ⅣとXperia 5Ⅲ徹底比較」をご参照下さい。さて今回香港版のXperia 10Ⅳを約1週間使ってきたので改めて購入するべき機種なのかまとめたいと思います。

結論

最初に結論を言ってしまうとSonyがXperia 10Ⅳに求めたことは明白で電池持ちの改善とイヤホン接続時のオーディオの改善です。

逆にこの2つのことに拘りがない人はおすすめできず少なくともドコモオンラインショップにおいて6万4000円ですが個人的には高価に感じます。ミドルレンジであることを考えるとバランスが悪いです。

不具合と思うくらいのデメリット。

まず1週間使った上で残念なことは光学式手ぶれ補正に対応した動画性能がおかしいこと。Xperia 10Ⅳの新機能として24mmの画角のみで新たに光学式手ぶれ補正に対応しました。

当初開封レビューを公開した時は間違って2倍で撮影してしまったのかと思っていましたがその後何度か確認した上で撮影しても結果は変わらず画質が酷く手ぶれ補正も全然効いていない。

電子手ぶれ補正となっているXperia 10Ⅲよりも酷いとハードが強化された意味が正直ない。また当たり前ですがFHD/30fps撮影に切り替えると手ブレは改善しますが全体的にカクツク感じ。

ただハードを強化した上でここまで悪化していることを考えると手持ちの個体に不具合の可能性。フォーカスが甘いのは仕方ないとしても室内でもノイズが酷く手ぶれ補正はほとんど効いていない。

さらにフリーズしそうなほど挙動が不安定とこれが仕様なら正直かなり問題があるように感じます。今後アップデートで改善されるか不明ですが現時点での評価では動画機能は使えない感じです。

一方で写真においてはSnapdragon695を搭載したことが影響しているのか処理速度の改善。

そのため前モデルでは気になったシャッターボタンを押してから保存されるまでのタイムラグが地味に改善しており使いやすくなった印象。ただ画質自体はほぼ変わらないという感じに加えフォーカスの甘さが目立つのも改善されていない印象。

前モデルはフォーカスの甘さにシャッターボタンを押してからのタイムラグのせいで手ブレが発生する確率も高かったので動体の撮影はかなり厳しかったですがXperia 10Ⅳはフォーカスの甘さから厳し目の印象です。

ミドルレンジにカメラをあまり求める人はいないと思いますがちょっと動画機能は問題あり。写真に関してはしっかり構えた上でフォーカスを合わせてあげればだいぶ撮影しやすくなった印象。

ただ実際のところは不明ですがカメラ機能を強化したというよりは搭載SoCが強化された結果。画像処理が向上して画質の僅かな改善やタイムラグの改善につながったという印象です。

圧倒的なメリット。

次に良かったこととして電池持ちが大幅に改善されていること。

手持ちの個体は香港版なのでWi-Fi環境で使ったことが前提になりますが可能な限り中心に使うようにして寝る前の電池残量は70%から80%程度のことが多く最適化がまだ終了していない状態でこの電池持ちは驚異的です。

キャリアモデルはキャリアアプリの存在やそもそもSIMカードを入れた時の方が消費電力が増える。

そのためもうちょっと消費電力は多くなるかもしれませんが自分のようなライトユーザーなら充電なしで3日以上は持つ感じで4日目まではいくけど終日は厳しいかなという印象です。

この電池持ちの良さは圧倒的に感じます。

海外サイトが公開したバッテリーテストの結果からもスコアが163を獲得したことからも頭一つ抜けているなという感じでしたがまさにその通りです。

また通知の量にもよりますが日中でも待機状態だとほとんどで電池を消費していない印象です。Snapdragon695と5000mAhの組み合わせは思っていたよりも強い感じです。

ちなみに使い方次第ですが基本モバイルバッテリーは持ち運びをしたくない人におすすめです。Xperia 10Ⅳは5000mAhのバッテリーを搭載しているのに充電速度は最大18Wなので遅め。

最も充電速度が速くなる可能性が高い電池残量が50%以下の場合でも30分で30%度しか充電出来ない。

なのでこまめに充電して使うという使い方には向いていない印象で電池持ちが良すぎる一方で充電速度はかなり遅いのがデメリットで基本は終日充電なしで持ち寝る時に充電する感じです。

バッテリーへの負荷の考え方が大きく異なるのか中華スマホは超急速充電に対応しているため充電速度が速いですが電池持ちが悪い。一方でXperia 10Ⅳは充電速度が遅いけど電池持ち抜群。

充電頻度が増えればその分バッテリーへの負荷もかかりSonyやGoogleにSamsungもそうですが電池残量に合わせて充電速度を制限します。逆に中華スマホは充電速度は一定のままという感じ。

Xperia 10Ⅳはバッテリーの負荷を考えた上での現状できる最大の答えという感じなのかも。

「普通」のスマホに進化

ミドルレンジにそこまで高望みをしても仕方ないと思うので個人的には1週間使って気になったのが動画性能がひどい一方で電池持ちが驚異的であること。今回Xperia 10Ⅳを使って思ったのが普通であること。

日本でXperia 10シリーズが初めて発売されたのはXperia 10IIからですが安かろう悪かろうでカメラの画質もひどければ全体的な動作性はかなりもっさりでスピーカーは論外という印象でした。

ただXperia 10Ⅳは4世代目ということもありようやく普通のスマホになった印象を受けます。ハイエンドと比較すれば動作性はちょっとモタツキを感じますが一般ユーザーなら許容範囲。

もちろんOSの最適化の面もあると思いますがSnapdragon695を搭載している以上こんなもの。

高リフレッシュレートに非対応なのは残念ですがそもそも高リフレッシュレートに対応したゲームタイトルを楽しめる程のパフォーマンスがないということからも非対応は仕方ないかも。

ちなみに高リフレッシュレートに対応しているからといって常に最高表示ができるとは限らない。

ミドルレンジでも対応機種が増えていますがパフォーマンス不足で結局負荷をかけるとパフォーマンスが低下してリフレッシュレートも60Hzすら出ないということは普通にありえます。

個人的にはTwitterやChromeなど日常使うアプリでもその恩恵を受けることが出来ることから対応して欲しかったですがゲームを中心に考えれば非対応は妥当。

スピーカーに関してはモノラル。ただチューニングを変えたのかスピーカー自体を刷新したのか不明ですが音量も音質もだいぶ改善。物足りないことに違いはありませんがようやく使えるスピーカーに進化したなという印象です。

先ほどの話とも重複しますがシャッターボタンを押してから保存されるまでのタイムラグの改善や動作性の改善などまだまだスペック的に物足りない部分もありますが最低限使える感じになった。

ミドルレンジは中華メーカーが得意とする価格帯であることからもSonyには厳しいと思います。ただSonyが今後ミドルレンジに力を入れて行くのであればようやくスタートラインに立てた感じ。

Xperia 10Ⅳは購入すべきか?

一方でスタートラインに立てたとはいえ個人的に6万4000円という価格は非常に高い印象です。Xperiaに拘りがある人や圧倒的な電池持ちに魅力を感じる人以外におすすめしにくい感じです。

Xperia 10Ⅳはイヤホン接続時のみ360 Reality Audioに対応したとはいえそもそも有線にしろワイヤレスにしろWF-1000XM4などを接続したXperia 1Ⅳとかと聴き比べをすると音質自体は物足りない。

360 Reality Audioに対応する前にイヤホン接続時の音質や音圧の改善やスピーカーをステレオにするなどその前にやるべきことがあったように感じます。

少なくとも新しい技術をいち早く試したいと思う人はミドルレンジではなくハイエンドを購入して試すと思います。

Xperia 5シリーズやXperia 1シリーズと比較するとターゲット層は明らかに異なり万人向け。

ただそうなるトータルバランスでの満足度が重要になってきますがXperia 10Ⅳはミドルレンジながらもバランスは悪いように感じてしまいその割には価格も高いという印象。

ミドルレンジを購入するユーザーこそ求めていることはシンプルですがその分逆に難しいです。

スマホに求めることはユーザーそれぞれ違うため6万4000円という価格を見てコスパが悪いと評価することは違うと思いますが個人的にはこの価格なら他の選択肢も候補に入れるべき。

ただ今後Xperia 10シリーズがどのような進化をするのか。

Xperia 10Ⅳで実現されなかったステレオスピーカーやワイヤレス充電などに対応するだけでも印象が大きく変わるので次につながる機種になったと思いますがまだ買い時の機種ではないように感じます。

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