Google Tensorの存在が引立つ。結局ベンチマークが高いより安い方が嬉しい

GoogleはGoogle AIをより強化するためにQualcommのSnapdragonからセミカスタマイズチップであるGoogle Tensorに移行。少なくともベンチマークで見れば他社に大きく見劣りしますがGoogleの目標であるAIという部分で見れば計画通りに動いているのかもしれません。

今回Pixel 10シリーズが搭載するGoogle Tensor G5を始めとしたTensorの存在価値は高くなる可能性があるので簡単にまとめたいと思います。

TSMC離れが加速する可能性。

現状だと3nmプロセスノードを採用したSoCの安定供給をできるのはTSMCくらいということもあり、TSMCに需要が集中している感じです。そのためTSMCは各メーカーに対して値上げ交渉を行なっているとの話で、例えばAppleは値上げを飲む代わりに3nmプロセスノードを採用したチップを優先的に供給してもらう契約をとりつけたとの話です。

さらに直近の情報からTSMCは今年3nmと5nmを採用したチップのコストを5%〜10%程度値上げするとされており、今年の後半に登場するSnapdragon 8 Elite Gen 2やDimensity9500はさらにコストが増加する可能性があります。

そして今後3nmから2nmに移行する流れになりますが、より高度の技術が必要になるためコストが増加。そのため一部情報によるとQualcommなど一部メーカーはサプライヤーをSamsungに変更する可能性があります。

2nmを採用したSoCは直近の情報をみる限り今年登場する可能性は低く早くても来年の後半だと思います。ただSoCの開発は16ヶ月周期とも言われているので、仮に来年の後半に発表するのであればすでに開発は進んでいる可能性があります。

少なくとも一部メーカーにとってSoCのコスト増加に耐えきれなくなっている可能性があります。

独自SoCである強み。

一部情報に基づいて各SoCのコストをまとめると以下のようになります。

コスト
Google Tensor G4 $80
A18 Pro $135
Dimensity9400 $160前後
Snapdragon 8 Elite $190前後

注意点としてSnapdragonやDimensityは既製品のためスマホメーカーが仕入れる場合は研究開発費などが上乗せされた状態に対してAppleやGoogleは独自SoCであくまでも製造コストのみの可能性があります。

つまり研究開発費を加算すればもっとコストが高い可能性もあります。ただ単純なコストだけでみるとGoogle Tensor G4は他社と比較して圧倒的にコストが安いことに加えGoogle Tensor G5でTSMCに切り替えてもAppleと同程度に収まる可能性があります。

またリークしたドキュメントをみる限りGoogle Tensor G6もTSMCの3nmを採用しているとの話。何よりGoogleとしては自分たちがやりたいパフォーマンスを実現しつつ品質の高さを優先する可能性。

一方でQualcommなどは今までのSamsungをみると品質よりもコストカットを優先している可能性があります。結局ベンチマークがどんどん高くなっても日常使う上で恩恵を受けるユーザーは限定的です。

これは単純な話で自分含めてスマホがどんなに進化してもスマホの使い方自体は大きく変わらないからです。またSoCが全てではなくトレンドのAIであってもSoCのパフォーマンスに加えRAMも重要と複合的に判断する必要がある。

現状だとゲームをガチでやりたいユーザーくらいしか恩恵がない状態で価格だけどんどん高くなっている印象。だからこそ今後SoCは自分たちがやりたいことを実現するために独自化する流れが強くなっていくのかもしれません。

とはいえ簡単に切り替えられるものではなく、Googleが長年にわたって莫大な投資をしてきた半導体部門、今後その存在感がかなり増すのかもしれません。

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